1-2:特別講習会 質問・回答 【のり面緑化手引】
質問1. 全体
質問2. 18〜23頁3.3リサイクル資材の使用に関わる計画策定について
質問3. 42頁4.3.2生育条件に関する調査について
質問4. 43頁4.3.3本調査項目について
質問5. 54〜56頁5.3.2緑化目標をもととした使用植物の選定について
質問6. 68頁 切土のり面におけるのり面保護工の選定フローについて
質問7. 70〜75頁 種子配合について
質問8. 73頁 植生工の選定フローについて
質問9. 93〜94頁 成績判定の目安について
質問10.132頁土壌硬度について
質問11.維持管理について
質問12.植生基材吹付工におけるラス張金露出について
 
質問1.全体

1)緑化工の検討は、本手引に準拠すると、非常に手間が掛かる。一般には、緑化の検討に関する検討設計費は発注者から貰えない。段階毎の調査、設計の内訳、歩掛りなどを整備し、官公庁へ提示できるものを作成してほしい。

2)性能照査型へ移行した場合、設計と積算はどのように変化するのでしょうか。総合評価方式の全面導入が始まっていますが、そのような形式でしょうか。また施工者の責任はどこまで拡大しますか。

3)緑化に対して、他の構造物とともに5年程度の保証を発注者から求められた場合、どのような対応を執ればよろしいでしょうか。緑化は保険の対象とはならないので。

回答.

1)手引では、計画、調査、設計、施工、維持管理について要求性能を整理し、性能照査の方法を用いて手順を記載しています。また、内容については維持管理を除いて特に新しいものを載せておらず、各段階で性能照査を行うことを著わしており、詳細については今後の課題です。歩掛りなどの作成について、発注者の本手引きの運用状況や詳細を見ながら行う必要がありますが、現時点では考えていません。

2)本手引きはテキストで謳われているように、要求性能を満たすような緑化目標を設定して設計、施工、維持管理と繋げる手順を示したものであり、テキストより幾分詳細な内容となっています。今後の設計・積算の形式がどのように移行するかは、発注者の運用に依るので不明ですが、今まで曖昧になっていた要求性能や緑化目標を設定し、それを満足できるような設計、施工をするよう心がける必要があります。
また、過去の施工現場の周辺環境(勾配、土質、周辺植生など)と何年でどのような植物群落になっているかを資料として保存し、活用することが益々重要となると考えられます。施工者責任については、施工と維持管理の責任を分ける必要があります。例えば、施工1年後に植生調査を行なって評価し、良好であれば施設管理者の維持管理へバトンタッチし、不良であればその原因を調査して手直しを行い、再度植生を調査して評価を行うこともあります。また、初期の植生は良好でも導入植物の維持や植生遷移を妨げる植物が自然侵入して衰退するケースは、よく見かけるところであるため、施設管理者へ適切な維持管理を行ってもらえるよう説明することが大切です。

3)上記2)に従って、目標群落が形成できる工法や資材などの提案(実績資料を含めた)、および初期植生の評価を行い了解してもらうことが大切です。また、異常気象などが原因である目標群落の未達成現象については施工者として責任はとれないため、適切な維持管理を行うことを施設管理者に了解して貰う。勿論、施工の瑕疵がある場合は、手直しなどを行う必要があります。

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質問2.18〜23頁3.3リサイクル資材の使用に関わる計画策定について
(平成19年10月11日追加)

1)表3−3−1の項目に、「環境に対する安全性に関する試験:溶出試験で土壌の汚染に関わる環境基準の基準値以下であることの確認。」との表現がありますが、土壌の溶出試験を行う場合、土壌を2mm以下にふるい分けていたと記憶しています。リサイクル資材の場合、例えば、現場より発生する伐採木、抜根材を用いる時には基盤材の粒径が比較的大きくなるため、上記の試験が困難であると考えます。このような場合は、やはり何度もふるい分けを行って試験の供する所定量を確保し実施することが望ましいのでしょうか。別途、良い方法があれば教えて頂きたい。
 
回答.

試験方法は決まっているので従って下さい。ただし、粉砕して細粒しなければならないので、チッパーなどを利用する方法があると思います。

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質問3.42頁4.3.2生育条件に関する調査について

塩分の有無の調査手法を具体的に教えて下さい(種類など)。また、その測定方法は簡易的なものでしょうか。
 
回答.

のり表層の土壌の塩分の調査には、①塩分濃度、②電気伝導度(EC)を測定する方法が行われています。これらの測定は専門の分析(検定)機関に依頼することもできますが、携帯型のECメータ(価格30,000〜200,000円)を用いて現場で測定することも行われています。測定方法は、さほど難しいものではありません。

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質問4.43頁4.3.3本調査項目について

調査項目に日向、日陰、乾燥、やや湿気、斜面などあるが、これらの条件と種子配合の使い分けについて、どのように扱うのでしょうか。また、これらを設計や施工に反映する場合、発注者の理解を得るに有効な手段はないでしょうか。
 

回答.

<質問が手引の記載と異なるので、日照条件についてのみ回答する。>
日当たりが悪いと一度成立しても植生の良好な状態を維持できない植物があるので、緑化目標や使用植物の選定の際に注意が必要です。例えば、日陰となる程度にもよりますが芝草類は日射量が少ないと衰退しやすいので、継続して維持しようとすると管理が煩雑になります。また、晩秋などの低温期には、温度が低いままなので発芽や成長に影響しますので播種量の補正などが必要となることがあります。発注者には、使用植物の個々の性質に応じて対処していることを理解していただくことが必要です。

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質問5.54〜56頁5.3.2緑化目標をもととした使用植物の選定について

1)外来生物リストに載っている外来植物を使用しない場合、56頁に載っている植物リストでは使用できる種類が少なく、早期緑化を行うに当り非常に不都合が生じます。外来植物の位置づけや使用の適否を示して欲しい。

2)従来の種子配合は外来種が多く使用されているが、国内種のみの配合については、どのような考えですか。

3)植物の特徴について耐湿性がないが、種苗会社などの資料を参考にした方が良いでしょうか。また、耐陰性と耐湿性は同一と考えるべきでしょうか。
 

回答.

1)「要注意外来生物リスト」に記載された緑化用植物の多くは、これまで多頻度に使用されてきた植物であり、のり面緑化工の設計においてはこれらを活用することが前提になっているともいえます。現状では、条例などの法規制による制限がある地域を除いては使用してもよいという考え方です。但し、これらの植物が及ぼす被害に関わる知見や情報が不足しているということですから、地域の状況を確認の上使用するということが必要です。現在、環境省、農林水産省、林野庁、国土交通省が主体となり、被害の発生構造や代替的な植物、緑化手法の検討を進めています。

2)早期(急速)緑化は、発芽、成長の速い外来草本類を主体に使用することが一般的で、これらを用いずに行うことは極めて難しいことです。現在使用されている在来草本類(国内種)は、発芽に要する期間が長く初期の成長も遅く、さらに植被に疎密を生じやすいので外来草本の代替として考えることは適当ではありません。緑化目標や維持管理及び植生工の選定などにあたり、考慮することが必要です。

3)耐湿性は、湿地に生育可能なアシ、エゾミゾハギなどを除けば、一般の緑化用植物には大きな差が無い比較項目であろうと考えます。耐湿性と耐陰性とは違います。

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質問6.68頁 切土のり面におけるのり面保護工の選定フローについて

土砂で侵食を受けやすく緑化の必要がある場合、プレキャスト枠工や柵工を併用する植生工へと繋がるが、植生基材吹付工で十分対応可能な場合は72頁の、図5−3−12の植生工選定フローへ進まなくてよろしいですか。
 

回答.

のり面保護工の選定を行った後、土壌硬度や岩の風化の程度などを確認のうえ「植生工の選定」を行うことが必要です。したがって、図5-3-12または図5-3-13に基づいた植生工の選定を行ってください。

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質問7.70〜75頁 種子配合について

1)播種量計算の立地条件に対する各工法の補正率について
 のり面の条件が勾配50度以上および軟岩の場合、勾配補正率は0.9となりますが、土質条件としての補正率は1.0となり、どちらを選択すべきでしょうか。

2)年間降水量が1000mm未満の場合は、勾配、土質、方位に関係なく、補正率は0.7を採用すべきでしょうか。この場合、どれかひとつでも条件が合えば、その補正率を使用する考え方で宜しいでしょうか。

3)播種量の計算式について、「のり面保護工施工管理技術テキスト」63頁と、「のり面緑化工の手引」71頁を比較すると、テキストでは純度を考慮しておりませんが、どちらを正とすべきでしょうか。

4)種子の発芽深さについて、手引56頁には発芽深さに範囲がありますが、播種量の計算に反
映させるにはどうすれば良いのですか。また、56頁以外の植物種子についてはどのように反映させるとよいですか。

5)発生期待本数について、手引には説明が載っておりませんが、テキストを参考としてよろしいですか。
 

回答.

1)播種量の補正は、植物の発芽・生育の環境として厳しい条件のときに増量するよう設定されています。このため、補正のための条件項目がより厳しいほうの値を用います。したがって、質問の条件の場合は0.9を選択するのが正しい。

2)基本的な考え方にしたがい、補正率は0.7とします。

3)播種量の計算方法は、「のり面保護工施工管理テキスト」と「のり面緑化工の手引」の記載を比べると、手引には「純度」の値が記載されています。一般に外来草本などの純度は100%に近いものになっているので、この場合には純度を除いて算出しても播種量に不都合を生じることはありませんが、純度の低い種子を使用する場合には純度を加える必要があります。手引の計算式にしたがい純度の項目を加えることがよいといえます。また、付表5-7-1に示す播種工に新たに用いられるようになった植物(樹木種子など)の種子は、純度を発芽率に含めて「発芽率」として使用しているものがありますが、この場合は純度を1として計算します。

4)表5-3-2に示す「発芽深」は、播種量の計算の「吹付厚に対する各工法の補正率」の値として用いることがあります。植生基盤中の種子の発芽可能な深さは、種子の粒径などに関係しており植物個々の性質に基づいていますが、生育基盤の硬さや組成などの影響を受けます。したがって、各植物の発芽深さの値は採用する工法の試験データなどにしたがうことが原則です。モルタル吹付機を使用し、有機質資材を主材料として吹付ける植生(厚層)基材吹付工の発芽可能厚さは付表5-8-1に示しましたが、同様の施工法の場合はこの値を用いることもできます。

5)発生期待本数は、使用植物の構成、植生工の種類、立地条件、施工時期などを考慮して設定しますが、採用する工法の当該地域での実績などを踏まえて行うことが原則です。この原則にしたがっていれば、のり面保護工施工管理テキストの発生期待本数を参考とすることはできます。

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質問8.73頁 植生工の選定フローについて

1:0.8以下の緩勾配となっていますが、1:0.8以上の緩勾配ではないでしょうか。因みに、「のり面工・斜面安定工指針」231頁では1:0.8以上の緩勾配となっています。

回答.

勾配の記載で「以下」は、「緩くなる」場合と「急になる」場合の両方に使われますが、本手引においては「緩くなる」場合に使用します。指摘のとおり、「のり面工・斜面安定工指針」においては「急になる」記載のときに使用していますが、他の技術書などでは「以下は緩くなる場合」に使用されていることが多く、当協会で発行している「のり面保護工施工管理技術テキスト」もこれにしたがっています。

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質問9.93〜94頁 成績判定の目安について

表6−4−2や表6−4−3にて、不可の判定の場合、対策として適切な施工法を施すとありますが、具体的な対策工(案)はどのような工法があるのでしょうか。

回答.

手引に示した成績判定の目安では、生育基盤が損傷を受けて植物が成立する可能性が著しく低い場合に「不可」としています。表6-4-2、表6-4-3においては、施工3ヵ月後の時点で生育基盤が侵食されている状態ですが、この原因としては現地の気象、立地条件が採用した工法の条件を超えているか、工法自体の性能が不十分であることが考えられます。のり面の条件と工法の性能を再度評価した上で、対処することが必要です。具体的な対策工は、現場の状況を確認した上で検討するものとします。

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質問10.132頁土壌硬度について

土壌硬度とNc(Nd)値、及びNc値とN値にはおおよその換算の目安があるので、N値か
ら切り土前のり面の概略土壌硬度を予測し参考とすることができるとあるが、換算の目安を教え
て頂きたい。

回答.

土壌硬度指数(mm)と土研式貫入計のNc(Nd)値の関係は、福永らの調査・研究により明らかにされています。土壌硬度指数の25、30、35mmはそれぞれ土研式貫入計のNc(Nd)値5、10、20に相当します。また、Nc値とN値の関係は、
  Nd=(1〜3)N(大久保)、
凝灰岩、凝灰角礫岩では Nd<20において
  Nd=1.5N(新任)
などが提案されており、詳細は(社)地盤工学会「地盤調査の方法と解説」などに記載されています。

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質問11.維持管理について

維持管理を行う期間の目安表がほしい。

回答.

植生の維持管理を行なう期間は、手引に示した「緑化目標の達成までの維持管理調査」の継続する期間を目安としてください。緑化目標が自然遷移型の草本型や先駆性の木本類では1〜3年間、これ以外の木本類や植生誘導工では5〜7年を目安とし、管理型では緑化目標の型によらず施設の供用期間中継続します。また、防災のための点検は、施設の維持管理基準にしたがいます。

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質問12.植生基材吹付工におけるラス金網露出について

1)ラス金網の露出度合いの考え方について教えて下さい。

2)138頁付録5章―9ラス張金網の露出度について
以前は、凹凸5cmののり面にて植生基材吹付け工t=3cmを施工した場合、その露出度合いは30%程度までは許容されるとの記載した文献があったが、現在もその判定が使用されているのでしょうか。
ラス金網の設置目的は、小石の落下防止や植生基盤材の剥離剥落防止があり、機能的には露出度合いは生育には関係ないことが多い。また、腐食を促進するためなるべく露出させる考え方では駄目ですか?

回答.

1)植生基材吹付工の金網の露出度合いは、のり面保護工に関する質疑応答集(平成12年(社)全国特定法面保護協会 P31)を参照してください。のり面の凹凸と設計の吹付厚さの条件別に露出度合いの目安が示されています。

2)施工の条件による金網の露出度合いの目安は、日本岩盤緑化工協会(その後日本法面緑化技術協会)の出来高基準に示されました。この基準にしたがうかどうかは、発注者との協議により決定することが必要です。また、金網を所定の期間内に腐食させる場合は、金網の加工や素材を変更する必要があり、その材料を用いた試験・調査データにより示すことが必要です。腐食を促進するために金網を露出させることは適切ではありません。

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